質問:中学3年生の男子生徒です。1年生のときから野球部に入り、一生懸命頑張っています。でもちっとも勉強はしません。朝の練習はあるし、平日は帰って来るのが夜の9時過ぎで、土曜日と日曜日は練習試合です。試験前一週間は部活は休みで、他の人は試験勉強をしていますが、うちの子はリラックスしてばかりです。
もうそろそろ部活も引退ですし、受験勉強に集中してほしいと思っていますが、まだその気にならないようです。ぜひ公立の高校に入ってもらいたいのですが、今からでも間に合うでしょうか。何しろ今まで何も勉強していないので、0からのスタートと同じです。何から始めたらいいのか教えてください。
本人に目標をもたせることから始めましょう
3年間野球部で頑張ってきたお子さんは、精神面・体力面ともにしっかりと鍛えられていますから、本人が目標をしっかりともっていれば、部活を引退した後の頑張り方ひとつで、いくらでも第一志望校に合格できます。大切なのは、部活を引退してからすぐに、受験勉強に向けて気持ちを切り替えることができるかどうかです。
まず、本人の中に明確な目標をもたせることが必要です。自分が目標とする学校のレベルと現在の自分の成績のギャップを正確に把握し、そのギャップを埋めるためにどういうふうに学習していくか、しっかりとした計画を立て、その計画にもとづいた学習をすることが大切です。そのためには「公立高校合格」という漠然とした目標ではなく、「〇〇高校合格」というはっきりとした目標がなければなりません。
数英を中心に毎日復習10分間を目指しましょう
次に、夏休みまでに、数学と英語を中心に、中1・中2で学習した内容の基礎を復習しておくことが大切です。数学・英語の2教科は、積み上げ型の教科ですから、いざ受験勉強に取り組もうとしても、中1・中2の内容が身についていないと、それこそ何から始めていいのか見当もつかない状態になり、極端な場合、勉強そのものが嫌になってしまう恐れもあります。そうならないためにも、絶対に復習が必要になります。とはいえ、夏休みまでは部活の練習や試合でなかなか時間が取れないでしょうから、いきなり普通の問題集を使うのではなく、市販されている「10分間ドリル」などの短時間で簡単にできる教材を利用すると良いでしょう。問題を解いてみて、自分が理解できているところと、できていないところの把握を目標とするということです。ここで自分が理解できていなかったところから、夏休みの学習をスタートさせればいいわけです。
お子さんのやる気を信じて見守りましょう
最後に大切なことは、本人が頑張っている横で、ご両親が「無理して〇〇高校に行かんでもいいんだよ」というようなことを絶対に言わないということです。ご両親にしてみれば、本人にプレッシャーをかけまいというお心遣いなのでしょうが、これほど本人のやる気を(無意識にしても)そぐ言葉はありません。「うちの子の成績では〇〇高校は無理かな」と心の中で思われたとしても、それを口に出すのはタブーです。お子さんの努力を信じて励ましてあげてください。
回答:全教研教務推進部 久保 龍己