「敬愛から人工衛星打ち上げ」を最終目標に日々努力
敬愛中学校・敬愛高等学校の理科研究部では、環境や宇宙をテーマに活動を行っています。3年前から空き缶サイズの模擬人工衛星「缶サット」の研究に取り組んでおり、その成果は年1回開催の「缶サット甲子園」で発表しています。
缶サット甲子園は、自作した、測定機器内蔵の缶サットを収めた「キャリア」をロケットで打ち上げ、缶サットを放出。缶サットが降下~着地する間に、設定したミッション(模擬人工衛星の動作)のデータを取得・回収・分析する競技で、その過程を通じ、技術力や創造力を競います。審査で重視されるのは斬新さやオリジナリティー。どんな材料を使い、どんな方法で、どんなデータを集めるか、各校が独自に工夫し、大会に臨んでいます。
缶サットの研究では、ミッションを考える人、プログラミングをする人など様々な役割が必要。発想力が高い人はミッション、手先が器用な人は組み立てなど、得意な部分を担当しています。「僕たちが3年間最も力を入れてきたのが、缶サットの落下時に使うプロペラの研究です。それまで、どの学校もパラシュートを使っていたので、誰もやったことのないプロペラに挑戦しました」(部長の大谷さん)。プロペラの研究ではまず、材料を何にするかを検討。手に入りやすい下敷きを使い、形、大きさ、枚数、折り曲げ方などを何度も試作し、最適なものを探しました。試作に使った下敷きは約140枚。1枚1枚、扇風機の風で回したり、落下実験を行ったりして改良を重ね、3年目の今年、全国大会で技術賞受賞という結果を残しました。「実験はうまくいかなくて当然、失敗して当然なものですが、敬愛理科研究部の部員はそこであきらめない。繰り返す熱意があります」と顧問の高尾先生。今大会では、競技の前日に缶サットが壊れ、宿泊先のホテルで作り直すというアクシデントがありましたが、部員の皆さんは失敗の原因を見つけ出し、冷静に対応することができたそうです。
4回目の出場となる次の大会の目標は「全国大会優勝、世界大会出場です」と大谷さん。「3年間プロペラの研究をしてきましたが、来年は新しいミッションを考えています。次のミッションは、これまでできないと思われてきた難しいものですが、ぜひ成功させたいと思っています」。
敬愛中学校・敬愛高等学校 理科研究部
部員数は高校生10名、中学生6名の計16名。現在は高校1年生が中心となって活動を行っています。研究の中心である「缶サット」のほか、中学生はトンボ玉づくりやピタゴラスイッチの装置づくりなどにも取り組んでいます。また、小学校や敬愛文化発表会などで科学教室や工作教室を開催するなどの活動も行っています。