以前上の子が中学に上がった時、いわゆる「中1ギャップ」に苦労した経験があります。この春、下の子どもが中学生になります。これまでマイペースに勉強してきて、部活もやりたいと言っていますので、中学の勉強に上手くなじんでいけるか不安です。いいスタートを切るにはどうすればいいですか?

中学入学に伴う環境の変化が「中1ギャップ」の原因に

 小学校から中学校に進んだお子様たちは、さまざまな環境の変化に直面します。学習面では、各教科の内容がより難しくなります。英語が本格的に始まったり、算数が数学に変わったり、社会や理科を分野ごとに深く学んだりと、勉強は小学校よりも間違いなく大変になります。また、教科ごとに担当の先生が変わったり、中間・期末考査が始まったり、順位や偏差値を意識したりと、初めての経験も多く、これまでの学習への取り組み方を見直さなければならなくなることもあるでしょう。

 更に、異なる小学校出身の生徒と一緒になることによる友人関係の複雑化、部活動における先輩・後輩という新しい関係の発生など、人間関係の変化も見過ごせない要素です。これらの大きな変化にうまくなじめずに、心身の不調をきたしたり不登校になったりする現象が「中1ギャップ」と呼ばれています。

小中連携の機会や中学準備講座を活用

 この問題に対しては、各自治体で小学校と中学校が連携し、さまざまな対策をとっているようです。例えば、小6の生徒と中学生の交流会を開いたり、部活動の体験会を行ったり、合同で学校行事を開催したりといったことです。そういった機会を利用されることが、中学生活をより具体的にイメージする助けとなり、人間関係におけるショックを軽減することにつながると思います。

 学習内容に関しても、多くの学習塾が春休みの期間を利用して「中学準備講座」を開講しています。卒業後の比較的ゆとりのある時間を使って、小学校の学習内容の総復習や、中学で最初に習う内容の先取りをするにはぴったりです。そういった講座に参加されて、早めに中学での学習内容に慣れておくことも重要なことだと思います。

ご家庭での声かけで入学前の不安を和らげる

 ただ、小学校から中学校へ進む際にお子様が感じる、「中学校に行って、ちゃんと勉強についていけるだろうか」という大きな不安が「中1ギャップ」の引き金になっていることも見落としてはならない事実だと思います。この不安は小学校でどれほど「優秀」な生徒さんであっても、多かれ少なかれ抱くものですから、この「不安」をどれだけ小さくしてあげられるかが、上記のような外部からの予防策以上に大切なことだと思います。

 小学校を卒業する時期が近づいたら、ご家庭で、中学校の生活は最初のうちは確かに大変かもしれないけれど、自分が目標をもってしっかりとやれることをやり続けてさえいれば少しずつ慣れていけるものであること、したがって何も不安になったり、焦ったりしなくてよいことを折にふれてお子様に対して話してあげることを忘れないでいただきたいと思います。

 回答:全教研教務推進部 久保 龍己